早稲田大学創造理工学部 経営システム工学科
経営システム工学研究室 教授写真

棟近雅彦 教授 / 学科主任

Masahiko MUNECHIKA

■所属/専攻
経営システム工学 経営システム工学専攻

■専門分野
社会・安全システム科学、社会システム工学・品質マネジメント

>研究室WEBサイト

実社会に近い立ち位置で学び
即戦力として働ける人材を育成する

Q 経営システム工学科とはどのような学科なのでしょうか。
もともとは工業経営学科という名称でしたが、サービス業、農業、医療など業種を問わずさまざまな領域で研究を重ねてきた学科です。その領域の広さを保ちながら、実社会に非常に近いところ多種多様な応用研究を行っています。
欧米・東南アジア諸国への国際的なインターンシップに早くから取り組んでおり、卒業後もグローバル企業へ就職するOB・OGを多数輩出しています。学部生でも海外への留学を希望する学生は年々増えており、学位互換制度を設けるなど、留学を経ても4年間で卒業できる制度を利用する人も出てきました。あくまで主体的に取り組むのは日本国内のテーマになるケースが多いですが、国際色の強い学科という事ができるかもしれません。

現代社会の課題を
優れたシステムによって解決に導く


Q 実際にどのような事柄について学んでいくのでしょうか。
例えば、工場における生産システムでは、モノを生産する上で、不良品をできるだけ少なくし、キチンと納期を守ることが課題です。また、製造業では、職人が長年の経験によって会得した技を可視化し、いかに後世へ継承していくかという課題があります。さらに、近年非常にニーズが増している物流業界においては、物量が増え、マンパワーが限られている中でユーザーのニーズに応えるため、モノをしっかり届け、受け取ってもらうにはどのようにすればよいかといった課題があります。これらの課題を企業とも共働しながら、学科・研究室として人々の生活向上に貢献してきた実績があるのが当学科です。
改めて各領域の構造に目を向けてみると、当たり前のように備わっている生活インフラや企業の提供するサービスは、優れた経営システムの上で成り立っているという事に気が付くはずです。計14の研究室ではそれぞれの得意分野を活かしながら外部組織と連携し、効率的な組織運営に協力しています。

固有技術に縛られず
広い領域をテーマに研究することが可能


Q 文系学部で学ぶ「経営」との違いを教えてください。
一口に「経営」と言っても、言葉が及ぶ範囲は非常に広いものがあり、私たちの学科名に含まれている「経営」は数理モデルを軸とした工学的なアプローチを指しています。戦略立案などのいわゆる経営学的なものに縛られず、生産現場でどのような人員配置をすれば効率的な形で従業員に働いてもらうことができるか、組織運営をしていく中で、各階層における構造は適切かどうかなどといった事柄を考察していきます。
時に商学部とチームを組みながら研究することもありますが、そこはあくまでも創造理工学部。常に傍らには数字があり、学びの軸となります。

Q では、経営システム工学科で求められる学生像は?
各研究室で行われている研究について、興味を抱いたというシンプルな動機で志望する形ももちろん結構ですが、充実度の高い早稲田の環境で学べる機会を得たのであれば、ぜひ大学院へ進学するという選択肢も持ち合わせてほしいですね。私の経験上、学部生時代で培われた個々の能力が、院生時代に花開くケースを多く見てきています。企業とやりとりをする中で磨かれるプレゼン能力であったり、国際学会での論文発表であったり、研究に取り組むことで身に付く力がたくさんありますので、学部生時代に意義のあるテーマを見つけ、それを院生時代にさらに高いレベルへ昇華して欲しいというのが私の願いです。

Q 最後に、学生にメッセージをお願いします。
経営システム工学科というのはある意味で「根無し草」な部分があります。固有技術を持たずに、最初から応用に切り込んでいく姿勢を指してのことですが、これにはいい面も悪い面もあります。学生は経営という広い領域の中でテーマを選択することができますが、それだけに目的意識を持って取り組んでいかなければ、問題解決には結びつきません。研究を重ねる中で身につくのは、本質的な問題を見抜く力。改善すべき現状を前に、その構造を洗い出し最終的なゴールに導いていくことができる力は、社会に出てから自分にとって大きな武器となることでしょう。
外部組織と共同研究を行う=半分社会に出る、という事は、就職後企業で即戦力として働けるスキルを身に付けるという事でもあります。私たちの実生活・社会により近いところで、学びたい、研究したいという熱意ある学生の登場に期待しています。