塩田 夏子

経営デザイン専攻 修士1年

髙田研究室

塩田 夏子 Shioda Natsuko

2016年度インタビュー

Q 研究内容を教えてください。

私が所属する髙田研究室のテーマは、環境調和型生産システムの構築です。これまでの生産システムは大量生産・大量消費・大量廃棄で、地球環境への負荷が大きいという問題を抱えていました。

そのなかでも、私が研究しているのは、環境調和型ビジネスについてです。

たとえば、自家用車は自動車そのものを所有したい人もいるでしょうが、移動する機能が得られればいいという人もいるはずです。後者のような人たちは、カーシェアリングを活用すれば、より環境負荷をかけず、かつ安価に目的を果たせます。これには、企業が所有権を個人に渡さず維持することで、車を管理しやすくなるというメリットもあるのです。

私が学部の卒業論文で取り組んだテーマは「家電のリユース」でした。家電の性能は年々向上し、特に毎日長い時間使う場合、CO2の排出量にかなりの差が出ます。電気代もお得になるので、適切な時期に買い換えるべきです。でも、中古品をただ廃棄するのはもったいない。そこで、普段あまり製品を使わないユーザーに中古品を活用してもらおうと思ったのです。短時間の使用なら、新しい家電に替えるよりも環境負荷をかけずに済むからです。

Q 研究は具体的にどのようなことを行うのでしょうか。

まず、製品を循環するために、中古品をどういった形で提供方法すべきかを策定します。リユースする場合,製品の提供方法には、売る、リース、レンタルなどの方法がありますが、ここでは企業が製品を管理しつつ、ユーザーに負担をかけないリースにしました。

次に、リユースした場合の効果をみるためにシミュレーションを構築します。家族構成やライフスタイルの変化により、家電の使用状況が変化すると仮定し、その仮定にもとづいて、製品の入れ替えを行うシミュレーションを作成しました。

そして、このシミュレーションの結果と、従来の売り切り型とを比較します。比較は、環境負荷とコストという2点で考えました。使用時の環境負荷は期間消費電力量×CO2排出原単位※で算出し、その他に新製品を製造するときに発生するCO2排出量等を考慮しました。コストは電気代+取り付け料等で算出します。

その結果、売り切り型よりもリユースにした方が、環境負荷もコストもそれぞれ数%下がることがわかりました。

※二酸化炭素(CO2)の排出原単位:1キロワット時の電気を発電したときのCO2排出量。

問題を発見し解決する能力を養う

Q 高校の頃の勉強とはどのあたりが違いますか?

3年生の後期から研究室に入ると、勉強の仕方が大きく変わります。それまでは高校時代と同様、座学がメインで、知識を身につけるための勉強が中心でした。ところが、研究室では「考える力」が求められるようになったのです。

最初の頃は、何をやればいいのかということすらわからず、一日中、無駄はないか、非効率的なところはないかと探しまわったこともありました。

「家電のリユース」という発想が浮かんだのは、一軒家に一人暮らしをしている祖父の家にいた時です。祖父は仕事をリタイヤしてから、ほとんどの時間を家で過ごしていました。その生活がとにかくもったいなかったのです。エアコンがつけっぱなしなのに型式が古く、エネルギ効率が良くなかったり、テレビは最新型だけれど、古いテレビが廃棄されず、そのまま放って置かれたりしていました。

この経験を通じて学んだのは、日常生活のなかで「ここが問題だ」と気づく力の必要性です。ただ、これだけでは研究になりません。問題解決のためには、どのような選択肢があるか、どれを選ぶべきか、実際にやってみてどうなるかなど、やるべきことはたくさんあります。

ですから、理系に来るなら、大学院に進んだ方が良いかもしれません。学部の卒業論文の期間は1年しかないし、就職活動にも時間を取られます。想像以上に成果は少ない。一方、大学院に進めば、時間はあるし、授業も少人数で、教授と意見交換しつつ研究に取り組めます。学年・研究室を超えて語り合う場もあり、新しい発想も生まれやすいです。とにかく充実していておすすめですよ。

Q 経営システム工学科への志望動機は?

もともとものづくりに興味がありました。生活に欠かせないスマートフォンもそうですし、今日、学校に来られたのも理工系の研究者・技術者が電車を作ってくれたおかげです。だから「世界を作っているのは理系だ」と確信していたのです。

ですから文理選択の際、理系を選んだのですが、残念なことに理系科目がすごく苦手で、少なくとも研究者としてその道を極めるのは無理だと感じました。そんな頃に、経営システム工学科を見つけて、「これなら私でもできるかも!」と思ったのです。

入ってみたら、基礎科目として物理化学もあるし、プログラミングの授業もあるし、完全に理系でした。でも、ついていけないというほどではないので、多少理系科目が苦手でもチャレンジしてほしいですね。

それと、私は具体的にやりたいことはなく、なんとなく入ってきたタイプでしたが、経営システム工学科は学ぶ対象が幅広く、やりたいことを見つけられました。だから、やりたいことがまだ見つかっていない人も、きっと熱中できることを見つけられると思います。