岸 知二

岸 知二 教授

Tomoji KISHI

■ 所属/専攻 経営システム工学

経営システム工学専攻

■ 専門分野

ソフトウェア工学

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岸 教授

Q 経営システム工学科の特徴をおしえてください

早稲田大学の経営システム工学科は、日本で一番初めにこの分野の学問を始めた学科です。規模としても最大級で、日本の経営システム工学の中心だという自負があります。これは驕った意味ではなくて、責任感を持って教育および研究に取り組まなければならない立場にあるということです。現在では生産管理・品質管理の分野から、ITを駆使したビッグデータの活用のような旬の分野まで、非常に広い範囲を扱っていますが、その根本にある「軸足」が定まっているというのが本学科の強みです。
 カリキュラムを見て頂ければ一目瞭然ですが、統計、オペーレションズリサーチといった伝統的にこの分野の柱となってきた分野を基礎としてしっかりと位置付けています。そしてそれらを使いこなすための数学も重要です。これらが軸足になります。

Q 経営システム工学科の学生に求められるものは?

技術の発展は目覚ましいものがあり、最新技術を追って理解することも大切ですが、私たちはそれらの技術を実社会のなかでどのように使っていくのかということを常に考えています。
 例えばコンビニエンスストアではどのような商品がどのような層に売れているのかというデータが日々蓄積されています。これらのデータを見ていくと、ある商品を買っている人は一緒にある特定の商品を買っているという傾向や、天気によって売れるものなど、思いがけないことが分かってくる。こういった分析をするためには数学を基礎に、コンピュータやソフトウェアを使って、必要のないデータを取り除いたり、データ間の相関関係を捉えたりする必要があります。そのためにはコンビニの経営にはどんな情報が必要か、ステークホルダーの満足度を上げるにはどうしたら良いのかということがわからないといけません。
 いくら技術を理解しても、コンビニの経営とは何かという想像力や感性がないと、どういう情報を取り出せばよいかがわからない。無機的に情報を追えば価値のあるものがぽんと出てくるわけではないので、目的をもってデータに対峙する必要があります。そういった感性を養うことに重きを置いているのも本学科の特徴です。

実現できる最高の地点を

Q 先生の専門を教えてください

私の専門はソフトウェア工学です。テーマのひとつであるソフトウェアの再利用についてご紹介します。昨今のソフトウェアは非常に巨大ですから、全くゼロから作ることはほとんどなく、過去のソフトウェアを利用し、修正したり拡張したりして作ります。
 例えばスマートフォンの開発を考えてみます。スマートフォンと言ってもハイエンドからローエンドまでいくつか製品があり、同じモデルでも国内向け、アジア向け、欧米向けとバリエーションがあるかもしれません。これらの間には製品ごとに全く違う部分と似通っている部分がありますが、しっかり分析し必要な部品を整備することで開発の効率をぐっと上げ短い期間で製品投入することができます。こうした開発方法をプロダクトライン開発と言いますが、この分野の研究を進めています。
 こうした部品を作る際には技術面からだけの検討では不十分で、ステークホルダーにとってのビジネス価値を考慮する必要があります。限られた時間と費用の中で開発をするわけですから、単に頑張って技術的にいいものを作るというのではだめで、それぞれの部品や製品にどの程度のコストをかけどの程度のものを作るかを十分に考える必要があります。
 つまり個々の製品を切り離して考えるのではなく、複数の製品群をどう作ればステークホルダーにとっての価値を大きく出来るか、全体最適の視点で考えることが重要になるのです。これは経営システム工学科に求められる想像力、感性と非常に通ずるところがあります。ステークホルダーが何を求めているかを理解し、実現できる最高の地点を探るということです。

「かたち」にできてなんぼ

Q 経済、経営などの文系学部との違いは?

工学部というのは、「かたち」にできてなんぼだと思っています。文系学部の場合は経済活動のダイナミズムが研究対象でしょう。それに対して我々はそこにシステムを設置していくアプローチを採ります。経済活動を分析し、こうするべきだという指針を導き出すところまでは同じですが、そこに具体的なシステム、製品などの「かたち」を提供していくのが工学部です。そこが面白いところであり醍醐味だと思います。

Q 受験生にメッセージを

大学は受け身では何も得られません。もちろんカリキュラムは考え抜いたものですし、サポートはしますが、自分の興味を追求して欲しいですね。講義をただ受けているだけではそれでおしまいかもしれませんが、教員に質問にいけばいくらでも話しが聞けますし、文系学部の提供する授業も受けられます。勉学ばかりでなくサークル活動に精を出すのもいいでしょう。自ら動けば驚くほど多くのものが得られる場所ですから、使い倒してやるぞ、くらいの意気込みで来て欲しいですね。われわれにとっても張り合いになりますし(笑)。