高橋 真吾

高橋 真吾 教授/学科主任

Shingo TAKAHASHI

■ 所属/専攻 経営システム工学

経営システム工学専攻

■ 専門分野

システム理論 ソフトシステム科学

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高橋 真吾/学科主任

Q 経営システム工学科とはどのような学科なのでしょうか。

近年、私たち経営システム工学科は、「社会技術システム」が研究対象であるということを標榜しています。
社会における課題の解決をめざす際、エンジニアリング(工学)が主に用いるのは「技術システム」です。たとえば機械を使ったり、最新の科学技術を導入したりすることで対応しようとします。本学理工学術院の他学部・他学科の多くが対象としているのが、こちらの技術システムです。
一方、私たちが標榜する「社会技術システム」とは、技術システムのみならず、人や社会を含めた全体を指します。課題を生じさせる社会や人の活動も対象ですし、技術システムを運用する人間のシステムも対象です。図説すると、下図のようになります。

Q 「社会技術システム」と対象として、どのように問題解決を実現していくのでしょうか。

要素技術を単一で使用して、ではなく、社会システムを踏まえた上で、それぞれの技術を組み合わせて活用して、社会システムや経営システムに関わる問題解決をめざすのです。ですから、経営システム工学という分野は「システムをデザインして問題解決する分野」だと言えるかもしれません。
具体的に考えてみましょう。
今、社会ではコンピュータの重要性が増しています。授業や研究で使うのは当然です。また、情報系の授業もあるし、研究室もあります。研究を突き詰め、専門家になる場合もなくはない。その場合でも、最初から情報系の研究だけにフォーカスしているわけではありません。あくまで社会技術システム全体を見た上で、結果的に情報系にフォーカスしたと考えるのです。
ですから、数学、理科、情報系、エンジニアリング等、理工系学部として必要な工学的知識は共通基礎科目としてしっかり習得し、また、コンピュータのハードウェア・ソフトウェア等、幅広く応用科目も学び、技術システムへの理解を深めます。と同時に、人や組織の活動を研究対象にする学問――たとえばマネジメントなどの授業で、人や組織などの社会システムの知識についても身につけ、さまざまなシステムをデザインできるようにするのです。

今後注目される概念「システム・オブ・システムズ」

Q 経営システム工学という考え方は、現在、具体的にはどのような分野で使われているのでしょうか。

本学科の淵源は、工場経営や生産技術の経営を研究する工業経営学科です。そこから、工場にとどまらず、社会システム全体を対象にするように拡大・発展しました。ですから、経営システム工学という学術領域自体が、今なお発展中だと考えることができます。
具体的な分野としては、各研究室のページをご覧頂ければと思うのですが、私自身の研究分野でいえば、「システム・オブ・システムズ(System of Systems)」という言葉に注目しています。さまざまなレベルにあるさまざまな機能を持ったシステムがより有機的に連携し、全体として機能を果たしていくという考え方です。
注目されている自動運転システムを考えてみましょう。
自動車はこれまで機械工学という単体のシステムの対象でした。しかし、自動運転システムを構築しようとしたら、さまざまなシステムが必要です。車が周囲の状況を把握するための情報系のシステムや、交通システムとの連携が求められます。周囲の状況把握に使われるGPSは宇宙開発の技術システムです。
こうしたシステム・オブ・システムズは、ひとつのシステムが変化すれば、全体に影響を及ぼします。電気自動車が普及すれば、電気ステーションの設置が問題になり、カーシェアリングが普及すれば、駐車場や住宅の形も変化するでしょう。これらはもちろん、交通システムに影響します。これらを有機的に機能させるのは簡単ではありません。だからこそ、本学科のような研究が求められているのです。
今後の社会を紐解くキーワードとして、日本政府が提唱する「ソサイエティ5.0」という言葉があります。仮想的な空間と物理的な空間とが複合した「サイバーフィジカル」が、IoTなどを通じて実現する社会像です。これもシステム・オブ・システムズのひとつだと捉えることができます。

何事にも関心と好奇心を持ち
正解のない問題に取り組む姿勢を

Q では、経営システム工学科で求められる学生像は?

以上を踏まえると、特定の要素技術を知るだけではなく、広い分野から多様な要因を考え、本当に問題解決できるシステムは何なのかを把握し、実際に構築できる人材となります。ですから、幅広い視野を持ち、何事にも関心と好奇心を持つことが求められるでしょう。
ある分野の研究が楽しくなって、「自分はこれ以外に興味はないから、ほかの科目は捨てよう」と思うこともあるかもしれません。でも、決めつけないで、なるべく多くの科目に取り組んでほしいのです。そして、関心ある研究と、目前の科目とが、どのような関係性があるのかを考えてみてください。両者はどこかで必ず関連しています。そう考えることが多様な社会における問題解決の鍵となるのです。
そういう意味では、多少興味があって、専門的に学んでみたい分野があったとしても、他の分野にも触れておいた方がいいでしょう。何も学んでいないのに、自分の向き不向きを決めるのはもったいない。それほど興味がなくても、やってみれば何でも面白くなるものですし、そこでうまくいっている人はたくさんいるものです。

Q 最後に、学生にメッセージをお願いします。

本学科に限らず、学生として意識してほしいのは、これからは「正解のない問題」に取り組むのだということです。正解のない問題に取り組む際に、必要な心構えは、まず、教えられたことを批判的に見ることです。批判的とはすべてを闇雲に否定することではありません。教えられたことをひとつの意見として参考にするが、鵜呑みにせず、基本的には自分の状況に沿って考えていくことが大切です。
もうひとつは、「課題」や「問題」を自分で見つけようという心構えです。自分で見つけた課題だからこそ、自分で解決しようという気持ちになります。自分で課題を見つけるのが苦手な学生もいますが、逆にこれまでの勉強が苦手だった学生が急に生き生きとし始めることもあります。
これから迎える新しい時代には、新しい発想と創造力が求められます。経営システム工学科で、ともに新しい時代のビジョンを描き、現実化していきましょう。